ディストピア TOKYO

私たちは、これまで空想の世界で描かれてきた「ディストピア」を、実はすでに生きさせられてるのではないか?

by on 6月.06, 2009, under The 職質, タウン情報, 豆知識

potlatchです。反天連ニュース「あにまる」(反天皇制運動連絡会/編 このミニコミ、めちゃくちゃ面白い!)からご依頼いただき、ディストピアTOKYO紹介、またまた書かせていただきました。5月号です。

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WELCOME DYSTOPIA TOKYO! ディストピア東京 へようこそ!

potlatch(ディストピアTOKYO〜不穏で不安な『東京都安全・安心まちづくり条例』に反対するプロジェクト)

 「ディストピア」——一見すると平等で秩序ある理想的な社会に見えるが、実際には徹底した管理・統制により自由が奪われた社会。クリーンなまちづくりのために自発的に「ひと」を排除することが美徳とされ、誰もがその異様さに気づくことのない洗脳された排他的社会——私たちは、これまで空想の世界で描かれてきた「ディストピア」を、実はすでに生きさせられてるのではないか?——ここ、東京で。

 「ディストピアTOKYO〜不穏で不安な『東京都安全・安心まちづくり条例』に反対するプロジェクト」(http://street.chikadaigaku.net)は、2月都議会にいきなり提出された「東京都安全・安心まちづくり改正条例」へのプロテストとして始まった。警察主導の治安対策の一環として、繁華街でのパフォーマンスを「多大な迷惑」と規定し、地域住民だけでなく事業者、教育機関、そして来訪者、すなわち繁華街に遊びにくる人にも迷惑行為の自粛と摘発への協力を要請するこの「改正」には、さまざまな立場から批判の声が挙がった。折しも、新宿駅前での「ないかくだとう」のビラまきが警察に妨害されたり、野宿労働者の生存を支える「炊き出し」が住民からの苦情で中止に追い込まれるといった不穏な出来事が起こりはじめていたこともあり、都議会採決が行なわれる3月末には、都庁前での数回にわたる抗議行動、採決直前に新宿アルタ前で行なわれたフラッシュモブ、同じく新宿での「ビラまき・パフォーマンスを非合法化する『安全・安心まちづくり都条例』改悪反対緊急デモ」など、予想をはるかに超える抗議のデモンストレーションがいくつも巻き起こった。

  ディストピアTOKYOでは、それらを集約するためのブログを急遽立ち上げ、できるかぎりオンタイムで紹介してきた。パブリックコメントの再集約や都議会の動き、条例の問題点を記事化し、声明や集会情報やメディア報道、アーティストらによる作品や映像をアップする作業を連日行なった。未知のひとたちから次々届くメッセージや作品に胸を熱くした。考えてみると、ディストピアTOKYO自体が企画した催しはほとんどない(!)。が、ブログがひとつあることで、主体の異なるさまざまな行動の合流点となり、呼びかけの場となり、また別の行動を作り出す情報ソースとして機能していくという、運動としてなかなか面白い展開をうまいことつくりだせたかなと思う。改正条例は4月から施行されてしまったが、「繁華街等における安全・安心の確保に関する指針」の中に、当初はなかった「この指針は、事業者、地域住民、ボランティア及び来訪者に対し、繁華街等の安全・安心を自主的に確保するための具体的な手法等を示すものであり、何らかの義務を負わせ、又は規制を課すものではない」の一文が入ったことは、いまのところのそれなりの成果といえるかも知れない。

 4月、 IOC(国際オリンピック委員会)評価委員が、2016年オリンピック候補地視察に東京を訪れた。「治安が良さ」が唯一のウリの東京で、4月以降何が行なわれているか、ディストピア TOKYOもまずは視察がてら、19日、新宿駅東口広場で「IOC様 ようこそディストピア東京へ!」と題したビラまき情宣を行なった。その後、新宿歩行者天国に繰り出す。以前は大道芸人やミュージシャンを囲む人だかりがそれなりにあったように思うのだが、この日の新宿大通りは、せっかくのホコ天なのに歩道を歩く買い物客しかいなかった。ためしに横断幕を持って、ホコ天のド真ん中を7、8人で歩いてみる。三越、伊勢丹を過ぎ、世界堂の前あたりで、青いスタッフジャンパーの民間パトロール隊数名と警官数名がチームでやっぱり追いかけてきた。

 「東京都安全・安心まちづくり条例」本体の策定は2003年である。地域での民間パトロールの設置、共同住宅、道路・公園、金融機関、深夜営業の店舗、学校に防犯対策を命ずるもので、これにより監視カメラの設置が飛躍的にすすんだ。今回の条例「改正」は、これに「繁華街等」を加えることで空間としては街全域を、「事業者(空きビルのオーナーなども含む)」「来訪者(都民にかぎらない)」を含むことで動員体制を全体化したところがポイントだと思う。たかが条文に数行加えただけで、「安全・安心」の名の下に際限のない管理・統制が、この4月から可能になってしまった。何が迷惑か、どこが規制エリアなのかを恣意的に決めるのは、警察と民間パトロール隊(ただしくは推進委員会)。違法な職務質問や「迷惑」を理由にした通報をうながす。このことの重大さを、「改正」に賛成した多くの都議はいまだに理解していないだろう。

 ディストピアTOKYOでは、ひきつづき視察と警察ウォッチングを続けていく。目下、スマップ・草なぎくん支援キャンペーンを計画中(?)。もし「アンゼン・アンシン・マチヅクリ詐欺」にあったらディストピア TOKYOへただちに通報を。よろしくお願いします!


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