ディストピア TOKYO

全身盗撮スキャナー(?_?)

by on 2月.13, 2010, under タウン情報, 豆知識

マジですか!? これでまた客足が遠のき、航空会社や空港がつぶれるとおもいます。

▼no more capitalism 

http://alt-movements.org/no_more_capitalism/modules/no_more_cap_blog/details.php?bid=40

全身盗撮スキャナー導入は本末転倒だ!

  カテゴリ : 監視社会
   執筆 : toshi  2010-2-3 0:28

 東京新聞は、2月2日づけで、共同通信の記事として次のようの報じている。

 昨年12月の米機爆破テロ未遂事件を受け欧米各国が空港への配備を進めている、乗客への「全身透視型スキャナー検査」について日本政府も導入の検討に入ったことが2日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。
 全身スキャナーは人間の体を白、それ以外の異物を黒い画像で示し、乗客の衣服の下に隠されたものも探知できる性能を持ち、金属探知機よりも有効とされる。ただ身体的特徴が鮮明に映し出されるためプライバシーの観点から問題が指摘されている。日本政府は米政府や航空会社の意向も聴きながら導入の可否を最終的に判断する方向だ。
 関係者によると、日本政府は米機のテロ未遂事件を「新たな脅威」と位置付け、国内の航空保安体制を再確認する作業に着手。1月に内閣官房の呼び掛けで国土交通省、外務省、警察庁などによる事務レベルの会議を2回開催した。
 この中で全身スキャナーの海外での運用状況が報告され、日本国内の空港で全身スキャナーを導入する場合の課題や費用、テロ防止の具体的効果について意見交換。今後も関係省庁で協議する。

 この報道では、日本政府はまだ最終的な導入を決めてはいないものの、ニュアンスとしては導入の方向で検討をしていることは確実だ。問題は、内閣官房が事務レベルの会議として事実上密室で議論していることだ。プライバシー侵害だけでなく健康被害の問題も指摘されている高額のエックス線を用いたスキャン機器の導入であって、報道にあるように「米機のテロ未遂事件を「新たな脅威」と位置付け」て、導入の理由付けにするというのであれば、これは、日本ではまったく無意味なことだ。そもそも、オバマ自身が昨年暮に述べているように、米機のテロ未遂は、米国の諜報機関による組織的な対応ミスに直接の原因がある。(根本的な原因は、「テロとの戦争」そのものにあることは今は問わない)このミスに対応した対処には、米国の諜報機関や治安関連機関相互の組織のあり方を見直すというかなり面倒な制度改革を避けることはできないが、それよりもオバマは、具体的に有権者が実感できるような「テロ対策をちゃんとやっている」感覚に訴えることで政権の力を見せつけるというとんでもない間違った選択をしてしまった。全身盗撮装置を大量に米国のすべての空港に配備し、さらに世界中の空港に配備するように各国政府に圧力をかけるといった米国政府の態度は、パラノイアとしか言いようがない。

 パラノイアというのは、膨大な数の盗撮装置を導入することそのものを指しているのではない。そうではなくて、このような態度の背景にある米国やこれに同伴する政府が抱く「恐れ」そのものである。彼らは、事実上世界中の大半の人々をテロリストとなる可能性を秘めた人間だとみなしており、同時に、この「テロリスト」を説得して民主主義やら自由やらの正当性や、米国の言うところの「正義」を納得させる自信もないというところに発するものだ、フーコーならさしずめ、権力にとって不可欠な「生政治」そのものの破綻というかもしれないような、権力が身体に浸透できないシステムの破綻がもたらしている「恐れ」である。米国政府も日本政府も、ともに不幸なのは、こうした自らの権力の壊死の現れが「テロと戦争」というパラノイアを引き起こしているということを自覚できていないことだろう。

 さきに出された空港での全身透視スキャナー導入に反対しますの声明でも指摘されているように、全身盗撮装置は、技術的な意味においても政治的な意味においてもテロ対策にはならない。むしろ膨大な数の人々の裸体のデータベースを政府が管理し(たぶん、米国政府も共有するのだろう)、さらにこうした裸データと他の個人情報とを名寄せした不愉快な個人データファイルが蓄積されていくのだろう。

 911以降のアフガン、イラク戦争へのコミットに典型なように、日本政府は未だに派兵の誤りをきちんと再検証できていない。日本政府は「テロ対策」と米国からの圧力に関しては、伝統的に思考停止に陥ってしまう。何はともあれ米国に追従することでやっかいな外交上の摩擦を回避しようとし、その結果として、日本はますます世界から孤立し、よりやっかいな外交上の立場にはまり込む。日本を訪問する多くの非西欧世界の人々をあたかもテロリストであるかのうように処遇する盗撮装置の導入は、その結果として、世界の大半(人口の大半は非西欧世界に住んでいるわけで)の人々に対して、ますます日本への敵意や猜疑心を煽ることになりはしないか?それとも、盗撮装置を大歓迎するような搭乗客がいるとでもいうのか? 
 その反面、こうした日本への非西欧世界からの不安は、逆に日本国内のナショナリズムや排外主義、武力による威嚇の世論を醸成してしまう。監視強化は、テロ対策ではなく、単に武力による報復の連鎖を生み出すだけだ。


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