黒いカバン
by potlatch on 3月.17, 2009, under The 職質, タウン情報, 体験談
黒いカバン
(T_T)0404 (千葉高教組東葛支部「ひょうたん島研究会」)
今は昔、ぼくが深夜放送を聞いていたたぶん1970年代初め、泉谷しげるに「黒いカバン」という歌があった。「白雪姫の毒りんご」と「春夏秋冬」の間の曲である。その歌詞は--
「黒いカバンをぶら下げて、歩いていると/オマワリさんに、呼び止められた/オ~イちょっとと彼~は、ゆーの言うのだった/オーイちょっとという言葉をくれたことがなかったので、ムカっときたのです」
ここまでの歌詞も当てにならないが、こっから先は曲に乗らない。字余りソングは苦手である。ストーリー展開だけ追いかけると--
「オマワリさんがカバンの中を見せろと言い、ぼくは嫌だと言う。オマワリがそれは何故かと聞き、見せたくないから見せないとぼくは答える。(略)別れ際に、オマワリが今度だけは許してやると言ったが、ぼくも今度だけは許してやると言ってやった。」
こんな歌を思い出したのは、次のことがあったからである。
11月2日(金)午後、南京事件の夏淑金さん名誉回復裁判を傍聴しようと、東京地裁に向かっていた。千代田線に乗り換えようと、常磐線・北千住駅で降り、駅前デッキを歩いていた。その時、事件は起きた。警視庁のオマワリさん4人が、ぼくを取り囲み、行く手を遮ったのだ。
「どいて」と頼むも、無視される。そして、オマワリは言う。「カバンの中を見せて」。このオマワリの名誉のために言っておくが、「オ~イちょっと」というような失礼な言葉遣いではなく、一応、丁寧語で話してきた。ただし、「黒いカバン」のオマワリが一人なのに対して、ぼくの相手は4人、強盗でも一人より集団の方が罪は重い筈。
「見せる理由がないから嫌だ」と答えても、「その理由は何か?」と問う。理解力の足りない男だ。
こういうのを「職務質問」というらしいが、「職質は任意だよね?」と問うと、「それはそうだ」と言う。「じゃあ見せる気ないから、道あけてね」と優しく言っても、道をあけてくれない。その上、「逃げるのか」などと、失礼なことを言う。
常識で考えてほしい。ぼくは普通に公道を歩いていた。そこに4人のオマワリがやってきて、取り囲み、道をふさぐ。誰だって用があって歩いているのだから、どいてもらって前に進もうとするのに、決まってるじゃないか?
それを、「逃げるのか」って、そりゃないでしょ、オマワリさん。
その間も、都会の北千住駅前だから当然、市民は普通に通り過ぎていく。誰も、オマワリに誰何(すいか)などされない。
「何でボクだけ止めるの?」と聞いても、「オレが聞きたいと決めたからだ」ということしか言わない。
その後、上司というのがやってきて、6人体制になった。ひたすら「オマワリさんの行為が理不尽だ」と訴え続け、向こうがあきらめるのを待つ。突破を図って公務執行妨害で捕まったりするのは、好みじゃない。
嫌な時代がやってきた。普通の市民が普通に享受する筈の人権が脅かされる時代だ。少しでもまっとうな世の中にしようと、まじめに誓ってしまったTTであった。
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追伸。後日、ふと思ったのだけれど、あれ、ぼくが家庭訪問に向かう途中だったら、どうなったんだろう? オマワリ6人組の方が、公務執行妨害で捕まったりして・・・。 (07/11/05)