ディストピア TOKYO

「疑い」だけで、逮捕や拘束を可能にする発想

by on 2月.20, 2010, under New!! ネットカフェ規制, タウン情報

「ネットカフェ規制反対!」2.24都庁前アクション& 3.13新宿デモ!
賛同を!!! インターネットカフェ(漫画喫茶)規制に反対する共同声明

toshiさんがとりあげてくれました! 
 
▼no more capitalism 

http://alt-movements.org/no_more_capitalism/modules/no_more_cap_blog/details.php?bid=50

監視社会の肥大化を招く東京都のインターネットカフェ(漫画喫茶)規制条例案

 カテゴリ : 監視社会
 執筆 : toshi  2010-2-20 2:51

『 全国初の「ネットカフェ規制条例」が、春の都議会に提出される。報道によると、利用客の本人確認などを義務付ける条例の制定を目指すという。議会を通過すれば施行は7月から。このブログの最後に「インターネットカフェ(漫画喫茶)規制に反対する共同声明」と賛同の呼びかけを転載します。

 ネットカフェでの個人情報強制取得の義務付けは、下記の声明にあるように、身分証をもたない人たちを排除するとともに、こうした人たちに新たな身分証を持たせるように仕向ける危険性すらある。さらに、監視のやっかいなネットカフェの利用者を抑制することを通じて、ネットカフェそのものを縮小させる狙いもあると思う。

 この条例は、これまでの犯罪取り締まりを口実に繰り返されてきた捜査機関による網羅的な監視と共通した「方法論」に基づいている。つまり、微罪の放置がより凶悪な犯罪の誘因になるとみなして、いかなる軽微な犯罪も見逃さず徹底して取り締まること。不特定多数の人々が利用しうるような場所で犯罪が引き起こされた場合、捜査機関は、その場所を利用するすべての人々を特定することを通じて、「犯人」を割り出すことができるし、犯罪が再び起きないように抑止することができると考える。この発想で、道路、空港や繁華街、学校に次々に監視カメラが増殖していった。

 このような捜査機関の方法論には大きな問題があることは、すでに監視カメラの設置をめぐって批判されてきたが、今回の条例制定がすんなり通れば、全国に波及し、警察庁や法務省によるコンピュータネットワークへの監視強化のための法整備に道を開く危険視をもっている。特に以下の点に注目すべきだ。

 第一に、この条例が前提している考え方では、捜査機関は、あらゆる人々を犯罪者となる可能性を持った者という前提で、監視することを当然のこととしている。犯罪が発生したことがあるということを理由に、その場所を利用する不特定多数の人々のプライバシー情報を取得することを認めてはならない。何らかの違法行為を引き起こす者は全体のごく一部であるが、そのごく一部の者による違法行為を理由に、すべての人々を犯罪者の可能性のある者として疑惑の目で監視することを意味する。だれもが犯罪者になる可能性があると前提して、すべての人を犯罪を犯さないようにあらかじめ監視しなければならないという理屈を認めてしまうと、こうした網羅的な監視を可能にする権限を捜査機関に与えることが正当化されてしまう。これは、警察に無限の権限を与えるに等しい。犯罪が実際に起こされていなくても、その「疑い」だけで、逮捕や拘束を可能にする発想と同じものだ。警察は本来、起きた犯罪を捜査する刑事警察として、その役割に制約を課されることによって、警察権力の肥大化に歯止めをかけるというのが戦後の刑事司法の基本的な考え方だった。しかし、最近は、むしろ予防や安全安心を理由に、警察活動を治安維持活動に拡大することが当たり前のようになってきた。

 第二に、とはいえ、100%の網羅的監視は実は不可能でもある。不可能なことを可能にしようとすれば、監視網が広がり、さらに緻密になればなるほど、この監視網から漏れる新たな「抜け道」もまた開発されるようになる。ネットカフェの監視によって、すべての「ハイテク犯罪」が予防・摘発できるわけではない。ネットカフェに対する規制は、東京都から全国に広がる危険性があり、さらに、ネットカフェだけではなく、すべてのインターネットへのアクセスについて、プロバイダーなど接続サービスの提供者は、ユーザの個人情報やアクセスログなどを保管する義務を課されるようになる危険性をはらんでいる。これは、共謀罪と一体のものとして何度も上程されてきたコンピュータ監視法案の趣旨とぴったり重なる。とすれば、何度も廃案の憂き目にあってきたコンピュータ監視法案が、条例を通じて、部分的ではあれ姿を変えて現実の制度として具体化してしまったとみることもできるのだ。

 警察権力を「安全安心」を理由に、治安維持の方向へと向かわせるような傾向にきちんとした歯止めをかけなければ市民的自由もプライバシーの権利も大きな危機にみまわれることだけは、はっきりしている。

 (以下、略) 』

 * * * * * * 

 「疑い」だけで逮捕や拘束を可能にする・・・こわいです。こうして収集された個人情報が、けいさつから漏洩してる 事例も、近い過去にたくさんあるわけですし・・・

 少なくともけいさつからの情報漏えい防止法、先につくっとくべきじゃないですかね? 

   ↓ 

▼私物PC管理の限界、浮き彫り…警視庁・捜査情報流出
(2007年6月14日 読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/net/security/ryusyutsu/20070614nt04.htm

・捜査に使う文書のひな型もネット上に流出した
 ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」のウイルスに感染したとみられる警察官の私物パソコンから、警視庁の捜査情報が大量に流出した問題は、業務上使用するパソコンを巡る警察当局の対応が、後手に回っている実態を浮き彫りにした。秘匿性の高いデータを、今なお「参考資料」として個人のパソコンに記録させている捜査員も多く、警察当局は、情報管理の見直しを迫られている。(社会部 山本広海、安藤弘樹)

・対策も実らず
 警視庁北沢署の巡査長(26)の私物パソコンから、大量の捜査情報が流出していることが明らかになった13日、同庁では、刑事、組織犯罪対策、公安など各部の幹部を集めた対策会議を開き、情報漏えい防止策の徹底を申し合わせた。
 全国の警察でウィニーによる捜査情報の漏えいが相次いだ昨年3月、警視庁も総務・警務両部長名で、〈1〉私物パソコンで捜査情報を扱わない〈2〉公用パソコンを許可なく持ち出さない〈3〉私物の記録媒体に捜査情報を取り込まない――といった指示を通達した。同時に、全職員から「ウィニーをインストールしたパソコンは使いません」という誓約書の提出を受けている。
 さらに、今年3月にも改めて調査を実施。所属ごとに上司が面談し、私物パソコンの使用状況を確認する一方、ウィニーがインストールされていないことを証明するため、画面を印刷して提出させるなど、繰り返し対策を取ってきた。

・警察内の慣習
 しかし、今回の漏えい問題の場合、北沢署の巡査長のほかに、上司の巡査部長(32)など複数の捜査員がそろって、こうした内規に違反していた。
 「上司にほめられた供述調書を『参考にしろ』と若手に配ったことがよくあった」。ある捜査幹部は、今回の情報漏えいの背景をそう指摘する。
 北沢署の巡査長のように、捜査経験が未熟な20代の警察官にとって、ベテラン捜査員が作成した供述調書や捜査報告書などは、まさに“教科書”。警察内部では、こうした捜査資料を譲り受け、調書作成時などの参考にするという慣行が続いており、巡査長の私物パソコンから流出した約1万件に上る文書類や画像の中にも、実在する事件の調書や捜査手続きに関する書類が多数含まれていた。
 内部資料用として作られた光磁気ディスク内のイージス艦の機密情報が、多数の自衛官に広まったとみられる海上自衛隊の情報流出事件とほぼ同様の構図で、警視庁幹部も、「巡査長はパソコン内のデータを参考書のようにしていた可能性がある」とみる。

・私物パソコン
 データ流出を防止するため、警察庁もパソコンでデータを記録媒体に記録する際、自動的に暗号化するソフトを開発した。業務パソコンで作成したファイルは、このソフトが入ったパソコンでないと開けなくなり、コピーをしても無駄になるという仕組みで、4月から全国の警察に導入するよう指示しており、今年度内には完了する見通しだ。
 ただ、警察では公費によるパソコンが行き渡っているわけではない。今年4月1日現在、全国の警察で業務使用しているパソコンは約19万8000台で、このうち、2万6000台が私物のパソコン。昨年同期よりも約5万1000台減ったが、公費パソコンが行き渡るのには今年度いっぱいかかるという。
 もう一つ、別の問題も浮上している。
 今回は、流出元の巡査長が自宅にある2台のパソコンのうち、ウィニーをインストールしていなかった1台だけしか上司に報告していなかった。
 「あくまでも自己申告制。家庭訪問までしているわけではないので、ウソをつかれればどうしようもない」(警視庁幹部)と、対策の限界を指摘する声も出ている。

・ネット上 瞬時に拡散
 インターネット上では、いったんプライバシーを含んだ情報などが流出すると、瞬時に拡散してしまう傾向がある。今回流出したデータの中にも、事件の被害者の実名や被害状況を含んだ資料があり、その拡散は、当事者にとって深刻な問題だ。実際、過去の流出例では、多数の掲示板に転載されたり、興味本位で他人にメール送信されたりしたケースもある。だが、それを食い止める有効な手だてがないのが現状だ。
 2002年に施行されたプロバイダー責任法には、プライバシー侵害や名誉棄損などがあった場合、被害者が接続業者や掲示板の管理人に、情報の削除を要請できる規定がある。しかし、強制力はなく、応じるかどうかは業者らの判断次第だ。
 大手の接続業者は削除に応じるようになってきているが、一般の管理人の場合は連絡すら取れず、仮に削除されたとしても、すでに別の多数のサイトに転載された後で、対応が追いつかないことも多いという。
 また、こうした行為を直接罰する法律もない。

◇ウィニー
 国内で開発されたファイル交換ソフト。サーバーを介さず、個人のパソコンを経由しながら、暗号化したデータをやりとりするため、使用者が特定されにくい。国内で約50万人が利用しているとみられ、ウイルス感染による情報流出が相次いでいる。

 (2007年6月14日 読売新聞)


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