New!! ネットカフェ規制
ネットカフェで指紋認証は現実だった(!!!)
by potlatch on 3月.21, 2010, under New!! ネットカフェ規制, タウン情報
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ネットカフェで指紋認証は現実だった
カテゴリ : 監視社会
執筆 : toshi 2010-3-20 19:01
先のぼくのブログに、本人確認に指紋認証が用いられるのではないかと書いたが、実際にすでに指紋認証を導入している漫画喫茶があった。東京の蒲田にある「いちご」。実際にぼくは利用したことがないので、伝聞になるが、ぼくの知人が実際に使って指紋認証が必要と言われたこと、ネット上でもブログで言及されているので、事実だろうということで書いておく。
「いちご」は、会員証があれば一時間100円と激安。ただし、会員証を作るときには指紋登録が必要。会員証なしなら一時間200円となるので、会員証を作ることになる。要するに指紋という個人情報を100円で売っているに等しい。一時間100円は激安だから、「ネット難民」の利用が多いのではないかとも言われている。ぼくの知人も、ネット使うというより寝るために使うと言っていたが。個人認証ができるような手段をもたないネットカフェ難民たちは、ネットカフェから排除されるかもしれないが、他方で、排除ではなく生体情報の提供を条件に、警察が期待する秩序に「統合」される道が現実に敷かれつつあるということでもある。ネットカフェから排除するな!という主張だけではなく、プライバシー情報としての生体情報の取得を条件とした入店の問題を視野に入れた議論が必要になっている。
結局個人認証が困難な場合、指紋で代用することができれば、会員証を他人が使うこともできないというわけだ。「いちご」に限らず、今後個人認証に指紋を導入する店が増えるのは確実なように思う。東京都の条例案に本人確認に指紋など生体認証を用いるようなことは明記されていないが、公安委員会規則で定められる危険性がある。
指紋は、一生変更できない極めてセンシティブな個人情報だ。この個人情報をネットカフェに立ち入り検査した警察が、令状もなしで取得する可能性はないとはいえない。逮捕歴があれば指紋データを警察は種痘しているし、将来にわたって警察のデータベースに登録された指紋が思いもかけない方法で利用されることもありえる。20歳代の若者であれば、半世紀先に自分の生体情報がどのように使われるかも考えるような想像力が必要だ。
しかも、民間が取得した個人情報は、警察だけでなく、様々な方法で共有されうる。会社が倒産したり他社に吸収合併されれば、別会社が個人情報を得るだろう。金融機関のように顧客のブラックリストを共有する業界では、個人情報の共有はむしろ業界にとって不可欠な「自衛手段」とみなされている。また、会社所有の顧客データは資産でもあるから、違法合法を問わず、場合によっては売買も可能なデータとなることもある。
ネットカフェへのアクセスが自由であれば、たぶん、指紋認証など不要だろうが、犯罪予防などを口実に警察などから本人確認の必要を強く示唆されれば、店側は警察の指導を断れないだろう。生体認証では金融機関が先行し、大学などでもパソコン端末の利用で指紋認証を導入している大学があり、さらにネットカフェにも広がるとなれば、こうした傾向が歯止めなくあらゆる不特定多数の消費者相手の店舗などに導入される危険性が高い。この歯止めのない導入は、当初はプライバシー侵害への不安といった直感的な拒否感情が先行するが、「別に自分は悪いことをしないから」とか「安全安心は必要だから」「便利」といった理由(多くの場合、マスメディアを通じたニュースや広告などによる刷り込みに基づく主張だが)によって、警戒心が解除され、さらに普及にはずみがつく。こうなると、市場の論理で、生体認証導入は文字通り雪だるま式に蔓延することになる。風俗店でも導入されれば、指紋以外に恰好の生体情報が取り放題だろう、というブラックなジョークすら思いついてしまう。その一方で、生体情報管理や警察などによる取得や使用への歯止めは、法制度の改正などの手続きが必要なことから、不十分なままとなるだろう。
結局のところ、貧困層は、所得や仕事を奪われるだけでなく、個人情報もまた奪われる。情報資本主義の「持たざる者」は、プライバシーや私的なデータすら奪われる。